2018/11/18

2018年 明治安田生命J2リーグ 第42節 山形戦

【山形 1 - 1 大分】



大分トリニータに関わる全ての皆さん、昇格おめでとうございました。そして山形の社長さん、木山監督、山田選手、モンテディオサポーターの皆さん、祝福をありがとうございました。山形のセレモニーでお互いお通夜みたいにならなくて本当に良かったと思います。J2魂で天皇杯頑張って下さい。


J2優勝という快挙をギリギリで手放してしまいましたが、得失点差で2位に滑り込むことに大成功。自動昇格という目標を大きく上回る結果です。これは大事件で大快挙です。え?あぁ昇格の女神なら今俺たちの腕枕で眠ってるけど?そんな(※どんなだ)最終節となりました。1週間、気が気じゃない時間を過ごして臨んだこの週末。風が冷たい山形に行って来ました。









秋です、秋。実は今シーズン、気合を入れてですね、カメラを新調したんですよ。最新鋭のカメラで撮影すると撮影者の腕とか関係なくボケ感が素晴らしい秋の感じが切り取れます。一足早い東北の秋は九州男児にはほぼ真冬並みの冷たさに感じました。





平常心でスタジアムに遅刻気味で到着するとニータンに遭遇。ニータンに近づけることはアウェイ民には大変貴重なので写真を撮り過ぎました。ペッカくんはスキップが速くてキモかったです。







昨年はバックスタンドで凍え死ぬかと思いましたが、今年はメインスタンドで凍えた。山形とは夏に対戦したい、夏に。逆に来年山形県民は気を付けないと春から夏の琉球に行ったら死ぬ。春先の沖縄の湿気は異常。サッカーをする気候ではなかったので本当に気を付けて下さい。







大注目の最終節に選ばれたスターティングメンバー。今シーズンの最大値を出すために前線3人がそれぞれ2桁得点を誇る破壊力抜群の34得点トリオ。ベンチには同じく2桁得点の後藤も控えており、とにかく得点して攻めて勝つぞという分かり易いメッセージが込められていました。


対する山形。天皇杯を残したホーム最終戦で、木山監督の続投も決まっており気温は下がってもモチベーションが下がる理由はない。何の因果なのか出場停止の関係で古巣対決に燃える坂井達弥がスタメンに抜擢されてしまう。恩返しゴールを食らいやすい我が軍には嫌な相手でした。















キックオフから前節程の硬さは感じず、良い試合の入りが出来ていました。山形は前線からボールを奪いに来る訳ではなく、最終ラインの位置をケアしつつ中盤を狭める方法で守ったため、横浜FC戦に似たゲーム展開に。直前まで雨が降ったこともあり、若干スリッピーなピッチ状態で、かなり強い風が吹いており風下のトリニータとしては前半我慢の様相。ただ横浜FC戦と大きく違ったのはプレーの精度。あの時ほどパスミスが頻出するようなことはなく、しっかりとボールを動かすことが出来ていました。山形は無理して追わず、というよりもボールを追ってもプレッシャーが全くハメられない状況に。素晴らしいボールの動かし方が出来ていました。











そうなるとチャンスが巡ってくるのが我が軍。右サイドを突破した岩田のグラウンダー気味のクロスを大外の星が決める、今シーズン何度も観たパターンのやつで先制出来てしまった。J3で優勝を決めた試合で岩田がゴールを決めた記憶が思い出され、こういう時は無鉄砲な若手に活躍させるに限ります。J1昇格を手繰り寄せる大きな、大きな先制点でした。





この後の試合運びが頼もしかった。いつもは簡単に反撃の勢いに飲まれて失点しがちな我が軍もこの日はこの1点を懐に忍ばせつつ、前に出たくないのに出ざるを得なくなった山形の裏のスペースを狙ってスペース大好き藤本をめがけて一発カウンターを狙う。ただ前半は風下に苦しめられてこのスペースへ藤本を走らせる、帰省パスが決まらなかった。ペナルティエリア内が実家なんじゃないかと思える程に藤本が落ち着く場所、ペナルティエリア内に帰省出来ることが少なかった。逆に風上に立てる後半に藤本が決めるのではないか、そんな予感さえ漂う上出来の前半でした。







後半もボールを回し、山形が前に出ればカウンターでの1点を伺い、ダメならボールを回しつつ時間を使う意図が全員に感じられて負ける雰囲気などは微塵も感じませんでした。失点の匂いさえ感じない。このまま時間さえ過ぎれば自動昇格という、目の前の試合に集中して対応することが出来ていました。











しかし、山形の最後の捨て身の攻撃がアディショナルタイムに決まってしまった。守備の人数も揃っていたし、全員が身体を投げうって守ろうとしても守れなかったアディショナルタイム。一気に他会場の結果に影響される悪条件の下に晒されてしまった。ここからのひっ迫感と緊張感が凄かった。特にベンチワークは慌ただしく、フレッシュな林に賭けてFWを投入。かなりのドタバタ劇が発生するも、何も悪あがき出来るほどの時間が残っておらず、ドロー決着。不穏な空気のまま、他会場の状況待ちという、完全に昇格の女神に運命を委ねるしかなくなってしまった。













実はメインスタンドでDAZNの複数試合を実況中継する番組をスマホで観ながら観戦していたので、ほぼリアルタイムで他会場の状況も把握していたんです。他がほとんど引き分けで動いていない状況が分かっていたので、このまま大丈夫だろうと思っていたのですが、山形vs大分が真っ先に終わってしまった後、スタジアムにいた人たちが急にスマホで状況を確認し始めたもんだから俺のスマホのDAZNがクルクル状態に!他会場の情報が分からなくなってしまった。この数分間がこの日、最も緊張する瞬間に。私まな板の上の鯉みたいな目をしてました。


静まりかえったゴール裏に歓喜の声が響いたその瞬間、全員が状況を理解して喜びと笑顔が満開に。安堵と高揚感。優勝というタイトルを失ったことは実は後からとんでもなくもったいないことだと気づく訳ですが、スタジアムでは昇格出来て、来年もこのチームがしっかりつ続いていく安心感と達成感の方が強く、純粋な喜びに満ち溢れることが出来ました。監督、選手、スタッフたちが成し遂げたことが本当に凄いと思いますし、断トツのフェアプレーで、中の下くらいの予算規模で、自動昇格を成し遂げたことを誇りに思います。だからこそ昇格の女神も微笑んでくれたと、割と真剣にそう考えています。本当に、本当に凄い。おめでとう、本当におめでとう。







最終的に2018年のJ2は松本山雅が勝ち点77で優勝し、2位が勝ち点76で大分トリニータ、3位横浜FC、4位町田ゼルビアが同勝ち点で並ぶという大混戦。昇格を決めたのは得失点差。攻撃的なチーム作りを続けて来た片野坂監督を中心とした現場首脳陣と西山強化部長を中心とした編成機能が報われた形。結局最後は主導権を握って、勝利をするために得点を奪えるチームが有利になる傾向が強いと改めて思いました。失点は余計過ぎましたが、伸びしろです、伸びしろ。最終節にまで伸びしろって書かなきゃいけないくらい、実はまだ未完成です。このチームは。



今年の開幕戦、栃木戦の衝撃。片野坂体制でのトリニータがピークを迎える期待感と寂しさを感じたあの試合から42試合。何度も課題が露呈し、カバーし、メンバーを代え、微調整を加え続けた今シーズン。それでもまだ詰めが甘く、ピークを迎える予感が今は無くなり、まだまだ伸びしろのあるチームだと感じます。桁の違う予算を使っているJ1ではボッコボコにされてしまうかもしれませんが、2013年の時よりも確実に強い自信と確信があります。J3から育て上げたこのチームと共に挑戦するのであれば、恐れるものは何もありません。J3で負けることの方がよっぽど恐ろしかった。J1でなら何連敗しようが何とも思わない精神力と余計な経験がこのクラブには養われてしまいました。J3で優勝した時に、J2とJ1を連覇するとネタで書きましたが、1年を挟んで、J2を制覇・・・・できなかった!これが悔しい。今になって悔しい!アディショナルタイムまでJ2優勝が手にあったのに!今になって大変悔しい想いをしております。



ただ、冷静に写真や動画を振り返っていた時に、試合後、松本怜が号泣している姿や、鈴木と福森の同期コンビも泣いている姿を目にしてしまうと、この数年間の苦しかった思い出が蘇ってしまい、J3に降格したにも関わらず、トリニータのために残ってくれた選手達が報われた姿に、熱いものがこみ上げて溢れ出して止まらない訳です。




5年前マリノスから大分に移籍した時、「こんなとこでは終わりません」と物騒なツイートで物議を醸しだした若き日の松本怜。J3でも残ってくれて昇格させてくれた松本怜。そんな松本怜がJ2で2位のクロス数を叩き出し、チームアシスト王となり、キャリアハイの4ゴール。その得点が勝ち点を、得失点差を作り出してこの結果に結びつけてくれた。でかくなった!泣いて若手にいじられるようになるなんて!でかいよ!でかくなったよ!岩田は笑いすぎだけどな!5年の歳月を経て有言実行!おめでとう松本怜!


2015年のJ2J3入れ替え戦の町田戦、レッドカードで失点からトリニータを守ってくれた鈴木義宜。しかし当然2戦目は出場停止で何も出来なかった鈴木義宜。あの試合以降、3年間リーグ戦のフルタイム出場を続ける鈴木義宜。J3でも残って昇格させてくれた鈴木義宜。新しいタスクとしてCBの真ん中を任された鈴木義宜。よそからオファーがあったという噂もあったけれども、大分に残ってこのクラブと共にJ1へ行く道を自ら切り拓いてくれた鈴木義宜。全ての漢気と決断が正しかったと証明した!おめでとう鈴木義宜!



2012年のJ1昇格プレーオフ千葉戦、鼻を骨折しながら最後まで交代せず奮闘してJ1昇格を成し遂げたのに、移籍金を払えない貧乏クラブと債務超過の貸し出し元クラブのせいでマネーゲームの被害者となってしまい一緒にJ1に行けなかった三平和司。そんな扱いを受けたのにも関わらず大分に戻って来てくれた三平和司。その上J3でも残って昇格させてくれた三平和司。遂に三平を、さんぺーをJ1に連れて行くことが出来た!いや、むしろさんぺーが、やっぱりさんぺーがトリニータをJ1へ導いてくれた!2回のJ1昇格に貢献してくれたレジェンド。次こそ一緒にJ1へ行こう!おめでとう三平和司!あ、ちょっとでもふざけ過ぎないで!インタビューの後ろで走り回ったりしないでください!







J1への近道とトリニータへの移籍を選択してくれた馬場キャプテン、J1で優勝経験がある実績がありながら戻って来てくれた丸谷、FWとしてあれほどの決定力を持ちながら、長年この業界で評価されずにJFLからJ3、J2へと這い上がって来た藤本、ポテンシャルを持ちながらエースとしてのプレッシャーと戦い続けている後藤、同じく伊佐、怪我で戦列を離れた刀根、チャンスが巡ってこずとも努力を続けた控えのGK陣たち、他の選手も1人1人のドラマが濃すぎて、その全員の努力が報われたことが本当におめでとうと、心から祝ってあげたい。全員で勝ち取った結果です。





そしてこのチーム再建の立役者となったリーダー片野坂監督には感謝してもしきれないくらいですが、まだまだ仕事をしてもらいたいと願います。J1でも声を嗄らしてチャレンジして欲しい。片野坂監督はJ3優勝の時もそうでしたが、理想を持ちつつも妥協点を見出して勝ち点に結びつけることを優先できる印象です。本当はもっとこだわってやり遂げたい形があるはずで、そのポテンシャルの底が見えないことが恐ろしいと感じています。まだ理想に届いていない。その理想形の完成を、J1で観たい。



そのためにもまずは金です、金。スポンサードしなければなりません。J1は恐ろしいことにイニエスタやポドルスキやフェルナンド・トーレスがいる世界です。来年はラグビーワールドカップで大銀ドームが使えない場合にシーズンパスが無いと市陸に入れず、イニエスタが観れない、みたいな不確定な誤報をガンガン流してシーズンパス購入を促したいと思います(※止めろ)。今週、監査法人に指摘を食らって第2四半期の決算発表を先延ばしせざるを得ずに株価が暴落したジェイリースさんにもトリニータの昇格は良いニュースとしてアルゴリズムが反応し、ストップ高に導くはずなので(※そこまではない)各スポンサーの維持と支援拡大に営業にも奮闘してもらいましょう。このJ3から共に戦ってきた選手たちの生活を劇的に向上させてあげましょう。J1に残留できればDAZNマネーが転がり込んでくるぞ!来年は死に物狂いで生き残るぞ!クラブの成長力をムキムキにしてやるぞ!カモンIT長者!



最後にサポーターの皆さん、2018年シーズンお疲れ様でした。J3に落ちても応援を続けたサポーターの皆さん。色んな人が離れる中でも、周囲に白い目で見られながらも、愛するトリニータのために、諦めずにトリニータを応援し続けてくれた、しつこすぎるサポーターの皆さん、本当におめでとう。そのしつこさがまた夢を生み出しましたよ!サポートありがとう!



落ち着いたら色々な総括をしてみたいと思います。J1昇格、本当に本当におめでとう!

2 件のコメント:

  1. アウェイ専用2018年11月18日 8:43

    今年最後の遠征行ってきました。
    最後まで魅せてくれる展開でしたね。
    POも悪くないよな、なんて自分に暗示を必死にかけてたところで昇格決まったのでちょっと拍子抜けしましたがw

    来年はさらに厳しいシーズンになると思いますが期待したいですね。

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    1. アウェイ専用様

      コメントありがとうございます。遠征お疲れ様でした。今シーズンは最後の10分まで分からない覚悟があったつもりでしたが、まさか試合後に決まるとは。らしいと言えばらしい昇格の仕方でした。来シーズンの挑戦が楽しみですね。

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