2024/10/28

2024年 明治安田J2リーグ 第36節 秋田戦

【秋田 0 - 2 大分】


秋田での残留を見届けに行って来ました。信じた通り、ミッションコンプリート。勝ち点1でも十分だったミッションで勝ち点3を得た大分トリニータ。見事J2残留を決めてくれました。喜んで良い事なのか微妙な気持ちにはなるけれども、ここで踏み留まれたことは過去のJ3降格の経験を経て、今のクラブの総合力が問われた局面で結果を出して底力を確認できた面もあるので、ひとまず安堵という感情でしょうか。安堵。色々と思うことが湧き上がる遠征でした。




秋田も駅前・スタジアム周辺の土地勘が芽生え始めるくらいには現地に行っている訳ですが、今回背もたれ付きシートってものを選択してみました。スタジアムで背もたれがあるのはこの席だけ!みたいな涙ぐましい謳い文句だったのでね、ブログのネタにもなるし、長崎のスタジアムで経験した最高額の席も経験したし、秋田の創意工夫に富んだ客単価の上げ方ってものも体感してみようと思いまして、思い切って座ってみました。正直ね、長崎の革張りのシートからのこの席ですから、ちょっと馬鹿にしていましたけれども、実際のところめちゃくちゃ快適。この、どこに売っているのか分からない背もたれ付きのクッションシート、欲しい。欲しくなった。こたつに最適だし、三ツ沢とか陸上競技場の長椅子がベースになっているスタジアムには持って行きたくなる。これは意外だった。アウェイ側は人気が無くてガラガラだったけれども、ちゃんと価値はあった。背もたれの無い、他の古い陸上競技場をホームスタジアムとするクラブはパクった方が良い。客単価を上げられる工夫としては素晴らしい。でも、もはや秋田は早く専用スタジアムを建てる計画を具体化しないとマズい。スタジアム周辺にある県庁とかにはスポーツ推しのスローガンとかが沢山飾ってある割に、秋田のスタジアム問題は長引いていて進捗が無いとJリーグ側から厳しい突っ込みが入っているのでそろそろ危うい。観客を増やすためには結果を出さなければならない秋田、昇格プレーオフ圏内の可能性が潰えてしまったけれども、政治を動かさないとならないターニングポイントにあるのではなかろうか。乗り越えるの大変だけれども、秋田県のお偉いさんを長崎の新スタジアムに連れて行けば良いと思われます。説得力が違う。

試合の話です。スタメンは前節から動かさず。対秋田戦術として前線が鮎川と屋敷で良いのか?という疑問はあった。きっとロングボールを増やしてリスク回避しつつ攻撃を組み立てると思っていたのでセカンドボールの奪い合いで優位に立つためにも、ある程度コントロールできるFWが居ないと苦しくなると予想していた。替えなかったってことは秋田のハイラインの裏を狙った低くて速いカウンターを狙う作戦に出ると予想。実際は肉弾戦を上回る流血戦を行う覚悟で試合に入った我が軍が、特に守備陣が球際で奮闘し続けた試合となりました。実際のところ、それだけの試合だったと言っても過言ではない。

対する秋田一体+をスローガンとする秋田。クラブ史上最高順位を狙う2024シーズン末期。プレーオフ圏内には届かないことが確定したものの、ホームスタジアムでモチベーションが下がることは無いと思われた。スローガン、来年どうすんだろうな。秋田一体、超秋田一体、シン秋田一体、秋田一体+と来たら、来年は「秋田一体×絶対」とかになるんだろうか。きっと吉田監督体制は維持するだろうからスローガンが楽しみ。スローガンを続ける今どき数少ないクラブになっているけれども。ベースは4-4-2だけれども縦横に圧縮する時と拡がる時があって、ロングボールを蹴るだけの単純な戦術では無い。2つくらいの戦術面を使い分けてくるので面倒です。途中の手段は変わっても最後の攻撃はペナルティエリア内でのカオス狙いではある。



試合の入り、GKからのボールを受ける秋田は密集から始まる。昔、町田で相馬監督がやっていたくらいの圧縮っぷり。縦にも横にも密集してコンパクトにし、何かが起こりやすい局面を作る。横に振ったりはせず、狙いは縦のみ。攻撃に対する創意工夫。これに対してシンプルに立ちはだかったのがトリニータの3バックとGK。特に3バックは強かった。攻撃面でハイボールの競り合い負けることは多かったけれども、逆に守備側ではハイボールの競り合いには圧勝。お互いに蹴っては跳ね返されを繰り返し、試合としては高度な冬の体育サッカーを見せられているような、原始的なサッカーを観た気がする。正直な感想としては面白くはなかったんだけれども、これが正解。じっくり時間を使いながら、堅くゲームを進めていく。裏で栃木は清水との戦いがある訳で、勝ち点1でも重要な意味を持つ試合。これで良いんです。面白くないサッカーこそがこの試合でやるべきこと。割り切って徹してくれました。お互い事故待ちです。




何も起きなければ得するのは我が軍。そんな試合展開で先に事故ったのは秋田でした。裏を狙ったロングボールに対してヘディングでGKに戻した秋田DF。これをGK山田元気がファンブル。全然難しいボールでも何でもなかったので写真さえ撮ってませんでしたけど、こぼれ球をかっさらってゴールにしてしまった鮎川。相手のミスで先制出来てしまった。これまで大体、GKがミスするのは我が軍の専売特許でしたが「行って来い」です。長いシーズン、対戦相手がミスしてくれることもあるんです。この先制点で大分トリニータ、元気になりました。山田元気のミスで元気をもらう。この元気が2点目も引き寄せた。





流血戦ですから、セットプレー多めだったこの試合、2点目は左サイドのセットプレーが起点で、逆サイドに大きく振ったボールを折り返しに失敗。こぼれ球を屋敷が拾って中に入れる。そのボールを鮎川が軌道を変えてペレイラが粘ってふわっと前線に供給。そのボールをデルランが溜めてボレーシュート。これまでセットプレーで何ら結果を出さなかったデルランがここで決めた。いままで!なんども!相手のペナルティエリア内ではほぼ何の役にも立ってこなかった漢が!急にボレーシュートですよ! 

こんなヘビメタムーブメントをする選手だったんですか!?全然セットプレーで決めないから初めて見たけどさ!大きな大きな2得点目で選手達も大喜びでした。




Jリーグ初ゴールです。デルラン、契約が残っているのかどうか不明ですし、この季節になると延長するかどうか決める時期ですけれども、当落線上にありそうな気が。最後の最後でアピールには成功。この試合、守備陣は本当に流血戦を覚悟していたくらいに気合が入っていて、3バックは守備だけでなく攻撃時もフル稼働で奮闘。それくらいしか見どころは無かったです、この試合。前半の2得点で精神的には優位に立てたトリニータ。前半リードで結果だけは抜群。だがそれで良い。

前半終了間際に鮎川が負傷退場っぽくなってしまって、後半の頭から渡邉新太が投入される。跳ね返し、跳ね返され、空中にボールがある時間帯が長いサッカーで、時折保持して野村に供給出来れば一気に局面を打開してカウンターが発動できる。ただ、そんなシーンは少なく、基本はもう、球際の殴り合いが継続です。





アディショナルタイムを含めて、長い時間肉弾戦を観続けました。秋田のサッカーを逆に遂行してやった感。秋田の観客はこういうサッカーを何年も観続けているのか、どんな感じなんだろうか、と思ってしまった。秋田は後半、圧縮から拡張に変わり、両ワイドがキチンと拡がって中で刺すような形でサイド攻撃をやろうとしていた時間帯があった。が、結局我が軍の守備陣を打ち破れず。2点差を活かして時間を使い続けてスコアは動かずタイムアップ。例えば秋田がJ1に行けたとして、J1の屈強なCBに対してどう戦うのか?という問題に対して答えは持っていなかった印象。うちの3バックはサイズ的にはJ2ではハイレベルだけれども、J1だと普通くらい。このスタイルで秋田に今以上の未来はあるのか?吉田体制継続か?このスタイルはJ1で資金が豊富なチームがやった方が結果が出たりしないのか?内容が割り切った内容だっただけに、色々と考えさせられる試合となりました。我が軍としてはアウェイで堅い試合運びによる勝ち点3を得ることが出来ました。勝ち点3だけが得られた試合。だがそれで良い。来年も秋田とJ2で戦うならば秋田対策として来年もこの戦いの方が良いかもしれない。対秋田は目には目を歯には歯を大作戦で上回る。秋田に対しては割り切る。そんな経験を得たのかもしれない。




試合終了直後、突っ伏したGKムン。シーズン終盤は責任を感じていたかもしれない。抱き合って称え合う頼もしい3バックに吸い寄せられるように抱き合って喜んでいました。この4人がこの試合のMVP。流血せずに戦い抜いた。 

亀が喜んでおります。J2残留です。J2残留で喜んで良いのかどうか、冒頭にも書きましたけれども微妙な気持ちではあります。ただ、第一次片野坂体制はJ3からのスタートで、あの時も栃木と競り合っていたことを覚えているだろうか。なぜか栃木と競り合うことになる初年度の片野坂体制。そう考えると、今回はJ2の下の方からスタート出来ている訳で、あの時よりもスタート地点は上にいる。1年目の片野坂体制も常勝軍団では決してなく、紆余曲折を経て、最後の最後で結果を出した。あの時も割り切って結果を求めたシーズンだったですよ。J3優勝したけど。体制2年目、3年目でより高い目標を上回る結果を出して行ったので、同様に期待したい気持ちはある。ただ、今シーズンに関しては得点力不足という明確な課題があったにも関わらず、それを克服するシーズン途中の補強を強化部門がやり切れなかったという重大な過失は見過ごせない。サムエルの負傷とその後の試合への絡まなさっぷり、長沢の再契約、最初から色々と後手に回った。夏の補強を本気で行うならばサムエルの契約を切って別の外国籍選手を獲得するくらいのことはやらないとダメだったのではないか。そのせいで、割とギリギリ瀬戸際まで追い込まれた。これは大反省が必要な編成だったと思います。J2の競争は激化している中で、「これで大丈夫だろう」レベルではなく、J1に行くための編成をやれないと生き残れません。下位3チームが自動降格するレギュレーション。少しでも不測の事態があればどのチームが落ちても不思議ではない。何とか生き残れたけれども、残り2試合は来年に向けた内容にしたいところです。 

清水がなんとか栃木に勝利して残留が確定。清水が楽勝かと思いきや、内容的には辛勝だった。危うかったですよ、今シーズンの残留。改めてギリギリだったなって思いました。怪我人が多く出るシーズンは定期的にあるけれども、その時にクラブとしての経験値とか総合力が問われる局面が訪れる。一度J3に落ちたり、片野坂監督もガンバで解任を経験したり、残留するために割り切ったサッカーをクラブも監督も選択して結果を出せて、各々の成長はあって、最悪は回避できたけれども、じゃぁ来年どうするんだという話はこれから続々と出るんだろうなと思われます。残り2試合。残留を決めた後、内容がどうなるのかは見届けたい。失敗は繰り返せない。







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