2024/08/25

2024年 明治安田J2リーグ 第28節 岡山戦

【岡山 0 - 0 大分】


酷い逆転負けがあろうが、勝てなさそうだろうがなんだろうが、行けるアウェイには行く方針です。クラブ30周年、16年目のアウェイ観戦記。改めて計算したらゾッとしました。青と黄が俺の人生ですよ本当に。勝った試合はアクセスが増えて、負けるとアクセスは激減するんですけどね、引き分けの時ちょうどその真ん中になりがちです。引き分けの時は物好きな人しか読んでいない模様です。ようこそ、物好きな方々。




晴れの国・岡山は暑かった。夕方になって幾分かマシになりましたけれども、サッカーをやれる環境では無いと思います。無理。そんなコンディションの中で走り勝っていたトリニータ。内容的には圧倒したけれども勝てませんでした。だがしかし、アウェイでの勝ち点1は最低限の結果です。よくぞ厳しいコンディションの中で勝ち点を持ち帰りました。そこは称えるべき試合でした。

スタメンは天皇杯の連戦を経て、戦える人材を優先的に揃えたメンバー構成。GKはムンキョンゴン、3バックの左に香川を投入。サイドは右に吉田、左に野嶽、中川・保田のボランチに伊佐がワントップの野村・髙橋の2シャドー。ベンチにはキムヒョンウ、池田らが入る。GKにはすんごい久しぶりに濱田太郎が復帰。西川は怪我の模様。フォーメーション表記上は3-4-2-1、守備時55-3-2になるベースを継続。この日は前線メンバー、中盤が走った。先頭に伊佐に引っ張られるようにチーム全体が集中を切らさずに走り続けた。めちゃくちゃ暑かったのに、走った。チームの方針としてはやることがシンプルになった印象。

対する岡山。試合前は5位と上位に位置付ける。ただここ数試合引き分けが続いて得点力不足に悩んでいる模様。スタメンからは「岡山」らしさみたいなものが薄まったというか、岡山と言えばこの選手、みたいな選手が減ってしまった。実績ある選手達なんですけれども、J2で結果を出した選手達の寄せ集め感が拭いきれず、少し違和感があった。怪我人が多いのかもしれないけれども生え抜き感が無いスタメン。生え抜き感のある10番の田中雄大はベンチスタート。木山監督の昇格できそうで昇格出来ない感じのチーム作りが相変わらずである。





前半からトリニータが主導権を握った。岡山の守備がまったくハマらず、ボールを保持して前進できるシーンが多かった。特にムンキョンゴンのプレーは圧巻で、愛媛戦のミスは既に天皇杯リバウンドメンタリティで跳ね除け、良い縦パスの数々を繰り出したリズムをこの試合でも発揮。最終ラインに加わったパス回しで岡山のプレスを無効化。保持で岡山を上回ることが出来た。岡山が保持している時は伊佐・髙橋の2トップでハイプレスを行うことで中盤でのセカンドボール争いで優位に立てた。髙橋大悟のボレーシュートはこの試合で最も惜しかった。ボール奪取、チャンスメイク、完全に岡山を上回ることが出来た前半であった。1本あったピンチはムンキョンゴンが掻き出す。本当にムンキョンゴンが良かった。





前半に写真を撮っていて気になったのが看板。アン・ドゥーという看板があって、この看板と安藤が並び立つ写真が撮りたいなと思い立ってしまってずーっとチャンスを試合そっちのけで狙ってしまった。それで撮れた写真を加工したら良い感じで完成しました。

アン・ドゥー&安藤です。アン・ドゥーは岡山に本社を構えるアパレル会社らしい。デニムとか作っているそうです。であれば、岡山もアンドウという名の選手を揃えればいいのにね。この1枚を撮りたいと思い立ってしまったが故に、前半は試合に集中できませんでした。わざわざ岡山まで行って何やってんだ俺は・・・。

この、後半に向かう監督のコメントが非常にシンプルで、岡山をハードワークで上回れってことです。暑いのに酷なんですが、やり切ったと思います。後半も内容的には岡山を上回った。





木山監督が首をかしげてベンチに戻る感じが物語る。岡山の攻撃は迫力を欠き、得点力不足は深刻になっている。一方で大分の攻撃も最後を決め切れず、シュートがポストに弾かれたシーンなど、あと一歩でゴールを割れなかった。試合終盤には野嶽が足を高く上げ、岡山の選手の顔にその足が入ってしまい、一発レッド判定。判定はしょうがないと思える程ガッツリ足が顔に入っていたので相手選手が大怪我にならずに良かったと思います。一人少なくなった大分はサッカーの神様に嫌われるような時間稼ぎをしつつも、8000人を超える後押しを受ける岡山にゴールは割らせずにタイムアップ。どんだけ絶不調なんだ岡山。劇的ゴールを生み出すには2万人足りません。スコアレスドロー決着となりました。






シュート数が14本と期待値は十分だっただけに、ゴールを割れなかったことは悔やまれますが終盤に退場者を出したりとピンチもあったので上位に対してアウェイで勝ち点1は価値があると思います。及第点。内容的にも改善を感じられたのでポジティブな印象なのですが、岡山が酷すぎる可能性もあるので評価は難しいところ。もう少しで台風が夏を吹き飛ばす季節になりますんでね、気温が下がれば再びハイプレスからの反転攻勢が実現する期待感が出た試合でした。未だにアウェイ水戸戦の前半の内容がピークなんだけれども、再びあのサッカーを取り戻せれば少なくともJ2には生き残れると思います。もう少し、あと少しの辛抱。


2024/08/21

2024年 天皇杯 4回戦 京都戦

【大分 0 - 2 京都】



天皇杯、終了。川崎を倒して京都に負ける2024年でした。19時までに帰宅しようとしたら都内はゲリラ豪雨オブ豪雨、キングオブゲリラ豪雨に襲われまして、止まった電車の中で前半を観ました。スマホの小さい画面で何となく分かる雰囲気。PK獲得とその後の流れをクリップにまとめた冒頭の動画だけ観てください。特にキッカー伊佐が準備をしていたら出てくるデルラン。主張するデルラン。じゃんけんする流れ。これがハイライト。じゃんけんが弱い伊佐が悪い。カップ戦なのでね、PKの練習はしているはずなんですよ。それで立候補した選手が枠に行かないんだから負けます。デルランなんでしゃしゃり出るらん?

残念ながら敗北してしまったスタメンは怪我を克服したメンバー中心でした。それでもまだベテラン勢は居ないんだけれども。フォーメーションはいつもの3-4-2-1かなと思われます。スマホの小さい画面だったので自信はない。GKはムンがスタメンだったのは意外。ただ、ムンのプレーは良い縦パスをズバズバ入れていてリバウンドメンタリティは感じました。いいチャレンジが多かった。予想としては西川幸之介がスタメンなんだろうと思っていただけに驚きであった。何かアクシデントだとしたら今シーズンの西川は運が無さ過ぎる。高校2年生の平野稜太が衝撃のベンチ入り。一体何があったんだろうか?その他、羽田も久しぶり過ぎてビックリですよ。3バックの右が茂平だったような雰囲気。自信はない。ボランチは弓場と小酒井がいるので何とかなった。右サイドに金髪角刈り松尾がいて、左に宇津元だったように感じる。自信はない。で、ワントップが伊佐でシャドーが若手の松岡と木許。木許はPK獲得という結果を残しました。ベンチには本当に久しぶりの池田、屋敷。戦線に復帰。良かった。


対するは京都。共創とか、強く超えるとか、謎にスローガン全部乗せで九州に上陸。ただいまJ1で16位のチームで、鈴木義宜と三竿を置いてくる余裕の選手層。守備時4-3-3に見えたのだけれども自信はない。前半は防戦一方になったのだけれども、京都の切り替えが速かったのか、前線へのパスが繋がらなかったのか、押し込まれる時間帯が長かった。要所要所で効率良く抑えられた印象で、常にハイプレスでガツガツやられるような、かつてのチョウキジェ監督のサッカーからはイメージと違った。トリニータの強度が弱かったのか?精度が低かったのかは一概には言えませんが全体を通して上回られてしまった印象でした。それでも前半はよく辛抱できていたと思います。


46分で羽田は交代。安藤にバトンタッチ。ずぶ濡れで帰宅して、着替えて晩御飯を食べていたら失点シーンは全て見逃しました。ちょいちょい巻き戻しつつ観ました。後半の内容は若干盛り返せたような印象はあったものの、結果的にはコーナーキックから失点し、茂平が退場し、自陣でマイボールのスローインを起点になぜかダメ押し失点するというバッドルーザーっぷり。バッドです、バッド。全然グッドじゃない負け方でした。力負けでしたね。川崎の方が強かったような気はするけれども。若手が経験を積める貴重な試合はもう終わってしまいました。リーグ戦に絡めるように、J1の強度から逆算してもっと鍛錬を積まなければならないことを糧に、今後に活かさなければなりません。天皇杯が終わってしまうのはいつも寂しい。


残りはリーグ戦に集中となりました。残りは11試合。あと11回ブログを更新すれば今年も終りです。どっぷりJ2残留争いに参加してしまいそうですが頑張って生き残りましょう。



2024/08/19

2024年 明治安田J2リーグ 第27節 愛媛戦

【大分 2 - 3 愛媛】


アウェイですが、「亀祭」に参戦したので愛媛遠征は自重しました。愛媛はいまだ行ったことが無く、遠征無縁の地のまま。タイミングが合わない地です。しかし、逆転勝ちをする試合もあれば、大逆転負けをする試合もあるもんですね。いや、なかなかないですよ!高校野球じゃないんだからさ、そんなに試合の流れは変わらんだろ。2点を先制して3点をひっくり返される試合なんてそうそう出会えないですよ?2点差ならまだわかる。3失点は酷い。またもや陰鬱な週末が戻ってきてしまいました。ここで勝てれば残留争いから抜け出せそうだったのに何やってだ。本当にもう。せっかくの亀祭りの余韻に冷水ぶっかけてどうする。2万人集まらないと勝てないチームです。残念過ぎる連勝失敗でした。

スタメンは亀祭りをベースに、試合途中で交代した藤原に代えてデルランが先発。3-4-2-1を継続。ベンチには久々に弓場が復帰。シーズン途中の移籍で流出が少ない大分トリニータですが、ついにGK新井が移籍でJ1町田へ。秋田から移籍後、なかなか出番が無かった新井。町田はJ1で優勝争いをしているので頑張って行っておいで以外の言葉はありません。所属選手が1名減。


対する愛媛。こちらも3-4-2-1を運用中。今回サイドの選手のイメージが濃い茂木がシャドーに入っているのは意外であった。7月に群馬に負けたり、8月も連敗だったりしている愛媛。ずるずると残留争いに巻き込まれるのか否か、チームとしてはそんな状況の模様。


試合は開始直後から一気呵成にボールを奪いに行く大分トリニータが主導権を握った。試合の入りは亀祭りの勢い、試合終了後からそのままのテンションでスタートしたような素晴らしい畳みかけっぷりで、勢いそのまま先制。本当に素晴らしかった。

保田は2戦連発。滞空時間の長い混戦から出たボールをボレーで決めてくれました。2分で先制ですから、90分あれば45点取れる計算です。大量得点に期待していました。

勢いそのままキムヒョンウが裏に抜け出し、シュート。そのシュートが腕に当たったとしてPK獲得判定。それを野村がきっちりと決めて2点目獲得。10分で2得点ですから9得点はできる計算です。残念ながら得点はこれで終了でしたけれども。

前半に1失点して差を詰められた状態で後半に突入。愛媛の保持に対してボールを高い位置で奪いきれないことが多く、ゲームとしては微妙な雰囲気。前進を許しては背走して戻り、5-4-1のブロックで何とかする、という守備になっていた中での失点だったのでゲームの内容自体は良くはなかった。前から奪うときは前線が2枚になっている雰囲気で、ミラーゲームといえども3バックに対して3枚を充てる感じでもなく、なんだかプレスが中途半端に感じてしまった。そんな中で修正して後半に臨むと思いきや、早々に同点を許してしまった。それがムンキョンゴンと安藤のパスを搔っ攫われての失点で、対してプレスでハメられているわけでもなかった場面だったのは精神的に辛かった。選手たちも辛かったとは思います。痛恨の失点となりました。繋ぐサッカーをやっているとシーズンのどこかで発生するミスではあるけれども、こんなタイミングかね・・・。残念過ぎるミスでした。前半2分で先制し、後半1分で失点です。早い。すべてが早い。


この後、プレスとリスク管理のバランスは取り戻せた時間帯があったけれども、後半40分にボールを奪いきれずにカウンターを被弾して大逆転負けとなりました。3点をひっくり返された、痛恨の敗戦となりました。前から奪いに行くも、奪いきれないと失点のリスクが増します。奪いきって攻撃で完結し続ける、が理想ですがまだまだその領域には達することが出来ていません。熊本戦から改善したかというと、そうでもなく・・・・。90分トータルで評価すると前半の試合の入りの勢いは良かった、くらいになってしまいそう。なかなか完成しない。32℃の環境だからなのか、何なのか。ハマらない前線の守備、どうすべきか・・・。

2024/08/13

2024年 明治安田J2リーグ 第26節 熊本戦

 【大分 2 - 1 熊本】


亀祭りです、亀祭り。今年3月以来のホームでの勝利おめでとうございました。年に1度のホーム観戦記。基本アウェイ専門家なのですが久々にレゾドにお邪魔しました。いやー、大分トリニータ30周年記念試合、大分トリニータの上がったり下がったりの歴史を体現するかのような試合でしたね。もういい加減安定して欲しいのだけれども、だがそれが良いじゃないですか。我が軍らしかった。結果的には最高に盛り上がりました。あれがもし先制してたら大逆転負けもあったかもしれない。オウンゴールで先制されてからの劇的逆転。下がってから上がる分には気持ち良く終われるもんです。報われた、とにかく報われた日でした。






30周年記念試合、色々イベント盛りだくさん。しかし、暑すぎる。超早めに、シャトルバスで現地に行ったのですが、既にスタジアムでは大行列の状態。全員が炎天下で汗だくで並んだんですよ。暑かったですね・・・。それも最後に報われた日。20周年記念試合も、25周年記念試合も、もはや1ミリも記憶に無いのですが、久々にスタジアムに人が多くて感慨深いものがありました。ティラノサウルス運動会は、そういう団体がちゃんと存在して、アピールも兼ねていたことが判って納得。ゼロベースでイベントとして考えていたらぶっ飛び過ぎであった。アーティストのhitomiさんもデビュー30周年だそうで。昔は小室ファミリーでしたが、そこから離れたhitomiさんと大分トリニータ。トライバルキックスと絡んだ大分トリニータとの歴史的伏線回収ですよ!これは!30周年は大分FCが仕掛けてくる謎解きが多かったな。


そんな中、どこかで見たことがある人だなと思っていたら溝畑初代社長がご来場されて挨拶されました。シークレット枠だったのか何だったのか、とにかく不意打ちでリアクションに困る雰囲気ではあった。30年の問題を全て掘り起こす勢い。いつかはこんな日が来ても良いとは思っていたけれども、今日か?という印象ではあった。この方が宴会芸として肛門にロケット花火を入れることでスポンサーを獲得し、大分トリニータは生き延びて来ました(※語弊がある)この人の肛門が弱かったら大分トリニータは30周年を迎えられなかった、それが現経営陣からのメッセージだったと思われます(※語弊がありすぎる)。今とは時代が違い過ぎるので暗黒史として封印しておきたいのだけれども、私みたいな観戦歴長めのブロガーがずっと肛門ネタを掘り起こすことになるので(※じゃぁ止めろ)もうこれで手打ちとして清算にしたいですね。お互いに適度な距離感でそっとしておく方が良かったのでは。めちゃくちゃ悔しい想いをして「俺たちの大分トリニータ」として県民が引き取った感覚が個人的にはあるし、Jリーグにファイナンシャルフェアプレーという概念が必要となったグレーゾーンを潰さざるを得ない契機にもなった訳で、これを承認した現行経営陣の認識は気になるところです。初代社長よりも今の社長が何を考えているのかの方が気になってしまった。

はい、試合です。試合は評価が難しい内容だったと思います。前節の山口戦に比べれば最悪ではないけれども、良かったかと言われると少し微妙。結果は抜群なだけで冷静に分析すると割と危うかったと感じました。保田と中川のダブルボランチでの3-4-2-1。ワントップにキムヒョンウを据えてのハイプレス敢行スタイル。暑い中でも走り続けられる、怪我の無い今動ける若手をメインに組み立てられたスタメン。補強して2試合目、髙橋大悟もベンチ入り。進撃の巨人コラボなのに一番高身長の長沢不在なのはちょっと残念でした。ブログ的にはネタにし易かったのに・・・・。


 対する熊本。勝ち点差、順位差がほぼほぼ無い状況で迎えたリーグ2戦目。お互いに残留争いに巻き込まれつつあり、勝利する必要があるため消極的な試合運びは出来ない。かと言ってリスク承知で積極的に出ることも出来ない。バランス重視でいつもの3-3-1-3をしぶとく運用中。ポンポンスポポン3-3-1-3です。18歳の道脇が海外に期限付き移籍で薄くなったFW陣にG大阪から唐山を獲得して穴埋め。水戸時代から丸坊主姿の唐山が好きだったんだけど、髪形が変わったので印象が変わってました。大木監督はブレずにフットボールを貫くので対策はし易いんだけれども、本気で対策するとアンチフットボール的な待つ形になるんでね、それは片野坂監督は対策として選ばないタイプですから、バランスを取った真っ向勝負であったと思います。熊本も中々経営規模が大きくならない印象だけれども、今後TSMCという超巨大企業からのスポンサードを九州のどこのチームが獲得できるのかチャレンジによって九州サッカー界は激変するかもしれない。

コレオグラフィの時に圧倒的ニータンの席だけライティングされていたのは意図的だったのか?亀祭りなんでね、亀を光らせたかったのか?ただのミスなのか?緑色を黄色にしたかったのか?コレオグラフィのためにライトまで考慮されていたのかもしれません。だとしたら本当に色々頑張り過ぎじゃなかったか、全員で。30周年記念横断幕しかり、コレオグラフィしかり。この想いが結果に結びつくことが、絶対ではないことがプロスポーツの厳しさなんだけれども、報われたですね。今回は。報われたですよ。





熊本に対するハイプレスはあまりハマらなかったし、保持率も上回わられてしまった印象。割と剥がされた。特に熊本CBの13番岩下が持ち出せるタイプで、自分一人でドリブルしてプレスを回避できてしまうことに感銘を受けた。上手かった。あれがJ1だと使われないんだから恐ろしい。なかなかハマらないプレスから始まったけれども、中盤以降で奪えることはあったし、守備も我慢出来た。身体を張って守り切る意識は高かったと思います。セットプレーからの失点が多い熊本と、ここ最近セットプレーが決められない大分トリニータ。セットプレーが勝負を分けそうな雰囲気。前半はお互いに決定機をGKに阻止されて無得点で折り返す。両チーム悪くはなかったけれども、相手を凌駕するほどの内容は発揮できなかった。

後半、先に動いたのは熊本。65分にトップ下の藤井を神代に交代して攻撃陣を1枚リフレッシュ。この時間帯で大分トリニータ側の攻撃陣のプレスにスピード感が無くなって、保持される時間が長めになった。そろそろ強度をテコ入れしないとまずいなと感じ始めた矢先、ベンチワークも動き出そうとしていた時だった。プレスを掛けきれずに右サイドを突破され、クロスの処理を安藤が誤ってオウンゴール。完全にやられた訳ではなかったのに、運の無い失点。バトルオブ九州で熊本から来た多くのサポーターが盛り上がる、盛り上がる。試合前の「大分だけには負けられない」チャントが定番になってますが、「大分以外なら負けてもいいんだ・・・」って毎回思ってしまう。大分だけには負けられない熊本がオウンゴールで先制。ここから大分側も伊佐、宇津元、髙橋大悟を投入して強度補修。ただ、試合が動いた契機は公式入場者数の発表で火が付いた印象。

スタジアムのビジョンに「28,359人」の数値が表示された時、スタジアムがどよめいたし、ちょうどプレーが切れて選手交代があったり、大分の選手が守備側に戻るタイミングだった。顔を上げて自陣に戻る選手達の前に出されたこの数値。選手達も絶対にこの数値が目に入ったと思います。大分トリニータ側の選手達から「このままじゃやべぇ」っていう雰囲気が滲み出た気がしたんですよね。この試合に至るまでクラブ側の努力は全員が感じていただろうし、選手も協力してくれたし、スポンサーとの関係や、何よりも多くの人に観られている試合で、何とかしなければ、という想いが、2万人届くか、届かないくらいだろうという想定よりも多かったが故に一気に追い込まれた感じというか。これまで、現場が成績優秀でもクラブ側がイベントなども出来ずに追いついていない時代や、クラブ側が頑張って動員してもその試合で現場が結果を出せない試合があったりと、両方が噛み合う事ってなかなか無かったと思うんです。スタジアム内外で多くのイベントが出来るまでになって、この日は結果だけが望まれた試合で先制された展開。残り15分。猛追が始まる。30年目の不屈の闘志。






同点弾はコーナーキックから。保田のキックは速い弾道で密集を狙ったボールになり、そのままゴールを誘発。後半の保田は中盤で推進力を発揮し過ぎてファウルでしか止められない存在になっていて完全体に近づきつつある。相手のファウルをアピールしたり、主審に詰め寄ったりするのはレベルの低い次元で、保田にはあの、後半試合途中にあった汚いファウルを物ともせずに乗り越えて鮎川とのワンツーだけで中央を堂々と引き裂くようなプレーが出来る訳ですから、一段上のレベルでJ2を凌駕せねばなりません。大分トリニータ30年で最高の逸材なんだ、保田は。2万8千に名前だけでも憶えて帰って欲しい。4年後のオリンピックで保田がメダルをもたらすのは確実だからな、観れるのは今しかないかもしれないんだぞ。観れるうちに観ときや。




同点に追いついてからも何度か絶望的なカウンターを浴びたような記憶も薄っすらあるんだけれども、失点しなかったから大丈夫。最後に得点が生まれたのはまたもセットプレー。守備陣も攻め上がった状態でムンキョンゴンのロングフィードから。安藤が競り勝って落としたボールを伊佐が繋ぐ、足元で収めたペレイラ。踵落とし一閃。








94分劇的な逆転ゴールとなりました。最後にデルランが信じられないってリアクションしてましたけど、おい、お前さんは信じてろよ、奇跡を作り出す側の人員だろうがと思いました。でもまぁ、気持ちは分かる。「普通あんなの決まる?」と言われたら普通は決まらないよねって答えます、私も。あれはもう、色々な人の想いが乗ったゴールだった。一人一人が繋いだ泥臭いボールがゴールに繋がるという展開。亀祭り、祭りのピークを迎えた瞬間でした。






大歓声で大変な盛り上がりとなりました。結実。めちゃくちゃ喜ぶ選手達。プレー再会を阻止する冷静な小酒井。ファインプレーが多すぎてカメラが足りない。ペレイラはユニフォーム脱いじゃったけどそれくらいは許してあげたい。いわき戦でキムヒョンウも劇的ゴールで警告を貰ってますが、劇的ゴールが多くて累積警告が増えていくシステムは良いんだか悪いんだか。








その後は身体を張って時間を使い、無事タイムアップに成功。厳しいコンディションの中で結果を出しました。内容的には監督も冷静に振り返っているのでその通りという印象ですが、選手層的にも戻って来ているので内容は上がっていくはず。審判団から劇的ゴールを決めたボールを渡されたペレイラ。果たして本当にゴールしたボールなのかどうか分からん。野球のホームランボールなら分かるけれども、サッカーでは珍しい気がする。スローインでボールが入れ替わっている可能性ありそうだけれども。持って帰ってましたペレイラ。

哲平さんと監督が勝利後に寄りそう感じの良いシーンが撮れませんでした。凄く良いシーンだったんだけれども、遅れました。残念なのでその残骸だけ貼っておきます。30年の歴史の中で現役選手がクラブに関わり続けている象徴的なシーンだったのに撮り逃しました。悔しい。カメラが足りない。

試合途中で、もしこのまま負けたら亀祭りの締めとして、バーニングマンみたいに炎が出るところにニータンを放るしかないんじゃないかと考えたのだけれども、無事結果が出て大団円となりました。亀祭りが血祭りにならなくて本当に良かった。30周年記念横断幕を前に大分よりの使者を歌うことが出来た。ホームでは約5か月ぶり。どんだけ勝てなかったんだっていう話です。ようやく報われました。関わった人たちは本当におつかめ様でございました。これを機に再浮上を願いたいが、気温が下がらないので交代メンバー全体で強度を維持する必要性がありそう。長い夏をやり過ごせるか。ハイプレス、再びハマるかどうか。この試合のように30年目のシーズンを最終節まで諦めずにチャレンジしましょう。