2022/06/06

2022年 明治安田生命J2リーグ 第20節 町田戦

【大分 3 - 1 町田】

遂に連戦が終わる。スケジュールに余裕が出ることくらいしか根拠がなかった「6月からの反転攻勢」プラン。正直ただの希望的観測だったのですが、この日の試合を観た限りは「ありそう」です。本当に反転攻勢できるのかどうかを見極める上で重要だった節目の20節、DAZN生観戦でした。

スタメンを観る限りは3バックなのか4バックなのかは判断が難しかった。正解は3バック。最終ラインは三竿・ペレイラ・上夷で並び、羽田と弓場のボランチ。左に藤本、右に井上健太を置き、サムエルのワントップに野村と渡邉新太の金髪ツーシャドーで3-4-2-1。試合後の下平監督のインタビューで「ミラーゲームに持ち込んだ」と言っていたので町田とがっぷり組み合わせすることを前提にしていた模様です。長い長い連戦の中で、しぶとく生き残ったスタメンの漢たち。面構えが違います。ベンチには長沢が戻って来ており、ようやく怪我から復帰してきているメンバーを確認できました。戻って来ているメンバーがいるのは心強い。反転攻勢です、反転攻勢。

対する町田。シーズン前の個人的順位予想で2位の自動昇格圏を予想。1位は意地のジェフ予想だったので実質優勝するのは町田だと思ってました、私。町田も千葉もいずれも同じ監督の下で3年目の体制であり、集大成となる年。昨年5位だった町田はサイバーエージェントマネーを炸裂させて山形からヴィニシウスアラウージョを強奪。我が軍からポープ、千葉から岡野洵と将来性のある中堅どころも獲得。クラブハウスも完成。上位進出は間違いないと思ってましたけれども、シーズン前半戦は我が軍同様に突き抜けはせずに停滞している印象。

停滞していても町田もまだ間に合います。2024年にJ1に優勝するロードマップでしたから、今年昇格できればまだ間に合います。藤田オーナーはウマ娘で稼いだお金を地道に運用。ポポヴィッチ監督がシーズン途中から3バックに移行してテコ入れして4位まで浮上して来た。この試合も3-4-2-1で鄭大世、ドゥドゥ、平戸のJ2屈指のアタッカー陣を揃えており、戦力は十分。ベンチにはヴィニシウスアラウージョも長谷川アーリアジャスールもいて豪華。堅い守備をベースにカウンターとセットプレーで得点を生み出す質実剛健のチーム。そんな町田もJ1を目指して何年か経ちましたが、この計画の写真は2028年くらいまで、擦り切れるまで使い倒してみようと思います。しかし、そんな計画でもちゃんと作る方が偉い。何も作ってない我が軍の経営陣の方がダメです。次の中期計画はよ。

ジョイマンのラップを歌う人と浅田飴の社長が見分けがつかないのは私だけでしょうか。コロナの感染者も減っているので、そろそろ観客を戻したい。こちらも反転攻勢が必要。ジョイマンの力を借りて若干観客も増えたでしょうか?ありがとう、オリゴ糖。

試合はトリニータペースで始まり。終始ボール奪取で町田を圧倒。右からは井上健太のスピード、左からは藤本のドリブル、真ん中のサムエルはパワーと色とりどりの3人がそれぞれの強みを活かして攻勢をかける。渡邉新太がハードワークでボールを奪い、10番を背負う野村が実にいやらしいボールキープを見せて左サイドを崩し、藤本の左足のクロスをサムエルがヘディングで決め切った。パワーは正義。サムエルのインスタに「水天」に行った写真があって、せっかく痩せたのに寿司食いやがったな、って思っていたのですが寿司食っても大丈夫なくらい身体にキレが出ました。おい、寿司持ってきてくれ、寿司を。握り寿司。木村和司。

2得点目は渡邉新太。前節群馬戦の焼き写しのようなヘディングシュート。こちらも左サイドを突破してのクロスが相手DFに当たり、落ちて来そうなところになぜか居る渡邉新太がヘディングで決めました。練習の賜物です。渡邉新太、ヘディングシュートの決定率急上昇。二条城。この得点の直後、岡野洵を下げて翁長を投入。前半早々で2点ビハインドでポポヴィッチ監督の動きは早かった。

なんと前半だけで3得点目、今度は右の井上健太のスピードが活きた。右サイド深くでボールを収め、折り返しを受けた野村がクロス、またもサムエルが決め切る。2度目の変なおじさんダンス(©志村けん)も飛び出してお祭り騒ぎで前半を終えた。アシストした野村に駆け寄る井上健太が尋常じゃないスピードなので是非もう一度ハイライトをお楽しみ下さい。上位町田相手に内容と結果で圧倒するという予想外の展開。ミラーゲームにして守備がハマりにハマった。中盤に弓場と羽田と言う運動量と高さが売りのハードワーカーの選択が当たっていた。ハードワーク万歳。散財。


ハーフタイムのコメントで両チームの監督コメントが対称となることは珍しい。この試合の評価は、これが全てだったと思います。下平監督はバトルで勝ち続けろと、自ら仕掛けたミラーゲームに手ごたえ十分。一方のポポヴィッチ監督もデュエルで負けてるじゃねぇかと。FWで起点を作れず、挟み込んでボールを奪われまくり、トリニータが保持している時はプレスが剥がされまくり、良いプレーが少なかった。GKポープのキックも不安定で良い事なしの前半に雷を落として後半に巻き返し。しかし、巻き返せたのも1得点まで。ロングスローを弾き返したボールをダイレクトで打ち込むという事故みたいな失点でしたが、町田の反撃もそれまで。パワーダウンしたメンバーの交代を先手で打てたことで逃げ切りに成功。勝ち点3。バルサン。



ここまで良い内容で町田を圧倒出来ると思っていなかったので予想外でした。頼もしいメンバーだった。長沢も途中出場で復帰したし、保田もリーグ戦でデビューを飾ったし、収穫が多い試合でした。ホームで勝てたのも久しぶりだったし。この試合はこれまで片野坂体制で築き上げて来たメリットとデメリットの部分、特に攻撃面でのカウンターを受けがちな攻撃に関して自重していたところの呪縛から解放されたような印象を持ちました。カウンターを受けそうになったら弓場が潰せば良いんだ!という強引な解。自由に攻撃してもらって結構です、僕が何とかしますって若手が言い出してます(※言ってません)より攻撃的にするために、守備の職人を育ててしまった。若手にハードワークを強いるブラック企業、大分トリニータです。

やっぱり本家は一味違います。またのご来場をお待ちしております。6月の反転攻勢、まずはひとつ。



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